バンクイックの50万円も、
少しずつ減っていった。
残りの枠が少なくなるにつれて、
また考えるようになった。
次は、どうやって金を作るか。
消費者金融は、
すでに何社も使っていた。
クレジットカードも、
新しく作るのが難しくなっていた。
それでも、
ギャンブルをやめるという方向には進まなかった。
別の方法を探した。
当時よく見ていたのが、
匿名掲示板の借金に関する書き込みだった。
金に困っている人たちが、
どこなら審査に通ったとか、
どうやって金を工面したとか、
好き勝手に情報を書いていた。
私も、
暇があればそこを見ていた。
そして、
携帯電話の端末を使って、
現金を作る方法を知った。
やったこと自体は単純だった。
携帯電話を分割払いで契約する。
そして、
その端末を売る。
新しいiPhoneなら、
本体価格は十数万円になる。
それを売れば、
まとまった現金が手に入った。
もちろん、
端末代の支払いはその後も残る。
今考えれば、
将来の支払いを増やして、
その一部を先に現金にしているだけだった。
でも、
当時の私にとって重要だったのは、
今、現金が手に入ること。
それだけだった。
むしろ不安だったのは、
契約そのものが通るかどうかだった。
すでに、
消費者金融も、
クレジットカードも、
かなり使っている。
だから、
申し込むたびに、
審査に通るのかが気になった。
これも、
今までと同じだった。
金を作る方法を見つける。
でも、
実際に使えるかどうかは、
審査結果が出るまで分からない。
だから、
通るまでは落ち着かなかった。
端末を受け取っても、
特別うれしかったわけではない。
欲しかったのは、
iPhoneではなかった。
その先にある現金だった。
それでも私は、
妙に冷静だった。
あとで必要になるかもしれない情報を残してから、
端末を手放した。
今思えば、
自分で使うつもりのない携帯を、
最初から売る前提で契約している。
十分おかしなことをしていた。
でも、
その場では、
そこまで強い罪悪感はなかった。
緊張したのは、
実際に売るときだった。
雑居ビル地下にある、薄暗い買取店に入り、
端末を渡す。
どうやって手に入れたのか聞かれる。
査定を待つ。
そこでは、
急に悪いことをしている感覚が強くなった。
店の雰囲気もあって、
余計に緊張した。
そして、
現金を受け取る。
その瞬間に、
大きく安心する。
これで、またしばらく何とかなる。
そう思った。
もちろん、
何とかなったわけではない。
借金が減ったわけでもない。
新しく、
携帯端末の分割払いが増えただけだった。
それでも、
現金が手元に入ると、
問題が解決したように感じた。
このころから、
私はもう、
金融会社から金を借りるだけではなく、
将来払うものを増やして、今使える現金に変える
ようになっていった。
そして、
これも一度では終わらなかった。
