第26話 借りられないなら、携帯を売ればいいと思った

バンクイックの50万円も、

少しずつ減っていった。

残りの枠が少なくなるにつれて、

また考えるようになった。

次は、どうやって金を作るか。


消費者金融は、

すでに何社も使っていた。

クレジットカードも、

新しく作るのが難しくなっていた。

それでも、

ギャンブルをやめるという方向には進まなかった。

別の方法を探した。

当時よく見ていたのが、

匿名掲示板の借金に関する書き込みだった。

金に困っている人たちが、

どこなら審査に通ったとか、

どうやって金を工面したとか、

好き勝手に情報を書いていた。

私も、

暇があればそこを見ていた。

そして、

携帯電話の端末を使って、

現金を作る方法を知った。


やったこと自体は単純だった。

携帯電話を分割払いで契約する。

そして、

その端末を売る。

新しいiPhoneなら、

本体価格は十数万円になる。

それを売れば、

まとまった現金が手に入った。

もちろん、

端末代の支払いはその後も残る。

今考えれば、

将来の支払いを増やして、

その一部を先に現金にしているだけだった。

でも、

当時の私にとって重要だったのは、

今、現金が手に入ること。

それだけだった。


むしろ不安だったのは、

契約そのものが通るかどうかだった。

すでに、

消費者金融も、

クレジットカードも、

かなり使っている。

だから、

申し込むたびに、

審査に通るのかが気になった。

これも、

今までと同じだった。

金を作る方法を見つける。

でも、

実際に使えるかどうかは、

審査結果が出るまで分からない。

だから、

通るまでは落ち着かなかった。


端末を受け取っても、

特別うれしかったわけではない。

欲しかったのは、

iPhoneではなかった。

その先にある現金だった。

それでも私は、

妙に冷静だった。

あとで必要になるかもしれない情報を残してから、

端末を手放した。

今思えば、

自分で使うつもりのない携帯を、

最初から売る前提で契約している。

十分おかしなことをしていた。

でも、

その場では、

そこまで強い罪悪感はなかった。


緊張したのは、

実際に売るときだった。

雑居ビル地下にある、薄暗い買取店に入り、

端末を渡す。

どうやって手に入れたのか聞かれる。

査定を待つ。

そこでは、

急に悪いことをしている感覚が強くなった。

店の雰囲気もあって、

余計に緊張した。

そして、

現金を受け取る。

その瞬間に、

大きく安心する。

これで、またしばらく何とかなる。

そう思った。


もちろん、

何とかなったわけではない。

借金が減ったわけでもない。

新しく、

携帯端末の分割払いが増えただけだった。

それでも、

現金が手元に入ると、

問題が解決したように感じた。

このころから、

私はもう、

金融会社から金を借りるだけではなく、

将来払うものを増やして、今使える現金に変える

ようになっていった。

そして、

これも一度では終わらなかった。

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