第7話 借りられる額が増えるたび、自分の金が増えた気がした

第6話で書いたように、一度借りてしまうと、最初に感じていた怖さはかなり早く消えた。

そして次に気にするようになったのが、

「あといくら借りられるか」

だった。

最初に借りられたのは数万円だったと思う。

何度か返済しているうちに、借りられる金額が少しずつ増えていった。

その時の私は、

「借金できる金額が増えた」

とは考えていなかった。

使える金が増えた。

ほとんどそんな感覚だった。

給料が増えたわけではない。

貯金ができたわけでもない。

ただ、借りられる枠が広がっただけだ。

それなのに、

「あと3万円借りられる」

と表示されれば、

自分の財布に3万円が追加されたような気がした。

返済についても同じだった。

数千円返す。

すると、その分だけまた借りられる。

本来なら、

「借金が数千円減った」

と考えるところだと思う。

でも私は、

「また数千円使えるようになった」

と見ていた。

返済は借金を減らすためのものではなく、

利用可能額を戻すためのものになっていた。

そして、限度額は10万円まで増えた。

学生だった自分にとって、10万円は大きな金額だった。

アルバイトで月10万円近く稼ぐことはあっても、

その金は何時間も働いて、給料日まで待って、ようやく手に入る。

借金の10万円は違った。

カードがあれば、

必要な時に引き出せる。

その手軽さのせいか、

同じ10万円でも、給料より軽く感じていたと思う。

もちろん、

借りた10万円は返さなければならない。

利息もかかる。

でも、当時はそこをほとんど見ていなかった。

見ていたのは、

「今いくら使えるか」

だけだった。

スロットに行く。

友人と遊ぶ。

金がないことを家で不自然に思われないようにする。

そういう目の前のことに使った。

気付けば、

10万円の枠もほとんど残っていなかった。

そこで初めて出てくる感情も、

「借金が10万円になった」

ではなかった。

「もう借りられない」

だった。

借金が増えたことより、

次に使える金がなくなったことの方が問題だった。

この考え方は、その後もずっと続く。

返済して枠が空けば借りる。

枠が増えれば、その分まで使う。

限度額は、

私にとって「借金の上限」ではなく、

「使っていい金の上限」

のようになっていた。

そして10万円の枠を使い切ったころ、

次に考えるようになる。

この会社で借りられないなら、

別のところから借りればいい。

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