第2話 恋人との予定より、ゲーセンを選んだ

中学生になってから、私の中でゲーセンの存在はさらに大きくなった。

部活がある日もあった。

友達と遊ぶ日もあった。

それでも、かなりの頻度でゲーセンにいた。

目的はほとんどスタホだった。

SEGAの競馬メダルゲーム「STARHORSE」。

通称、スタホ。

このゲームとは、その後かなり長い付き合いになる。

競馬ゲームではあるが、ただレースに賭けるだけではない。

自分の馬を育てて、レースに出して、その結果を見守る。

もちろん馬券のようにメダルを賭けることもできる。

当時の私は、これにかなりハマっていた。

今振り返ると、単に競馬が好きだったというより、

「勝負の結果を待つ時間」

そのものが好きだったのだと思う。

メダルが増えれば嬉しい。

減れば悔しい。

自分の馬が勝てば気分が良い。

負ければ、次こそはと思う。

それを何度も繰り返していた。

当時はまだ現金を直接賭けているわけではなかった。

だから、そこまで問題だとは思っていなかった。

あくまでゲーセン。

ただの遊び。

そう思っていた。

でも、遊びの優先順位は少しずつおかしくなっていた。

今でもよく覚えている出来事がある。

学生時代、当時付き合っていた相手を含め、何人かで大型テーマパークへ遊びに行く予定があった。

普通なら楽しみにするイベントだったと思う。

実際、現地の最寄り駅までは行った。

ところが、その時の私はどうしてもゲーセンへ行きたくなった。

理由は今となってはよく覚えていない。

スタホで何かやりたいことがあったのか。

ただ単にゲーセンへ行きたい気持ちが強かったのか。

とにかく、テーマパークへ入るよりも、ゲーセンへ行きたかった。

そこで私は嘘をついた。

「家から呼び出された」

そんなような理由を作って、その場を離れた。

そして、テーマパークには入らず、そのままゲーセンへ向かった。

今考えると、かなり異常な行動だと思う。

わざわざみんなで現地まで行っている。

付き合っている相手もいる。

それでも、そちらよりゲーセンを選んだ。

当時の私は、それを「ギャンブルの問題」だとは考えていなかった。

そもそもスタホはメダルゲームだ。

現金を賭けているわけではない。

だから自分の中では、

「ちょっとゲーセンが好きなだけ」

くらいの認識だった。

もちろん、嘘は後でばれた。

しばらくして、その相手とは別れることになった。

今となっては、それだけが理由だったのかは分からない。

ただ少なくとも、

大切な予定よりもゲーセンを優先した。

その事実は残っている。

そして、この時期からすでに一つの傾向があった。

何かを失ったからギャンブルをやめる、ではなかった。

ギャンブルやゲームを優先した結果として、

気づかないうちに他のものが後回しになっていく。

人との約束。

お金。

時間。

生活。

あとになって振り返ると、借金だけが突然人生を壊したわけではない。

もっと前から、

私は少しずつ、日常のいろいろなものをギャンブルより下に置くようになっていた。

このころはまだ、借金もない。

パチンコ屋に通っているわけでもない。

でも、

「やりたいことがあると、それを優先してしまう」

という部分は、すでに出来上がっていたのかもしれない。

そして数年後。

私は今度は、本当に現金を賭ける側へ進むことになる。

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