第3話 18歳、初めてパチンコホールに入った

18歳になってから、私は初めてパチンコホールに入った。

きっかけは兄だった。

兄がスロットを打っていて、

「一緒に行く?」

そんな感じで誘われたのが最初だったと思う。

最初に打ったのは、20円スロットではなく5円スロットだった。

いわゆる5スロだ。

当時よく打っていた機種として覚えているのは、「マクロス」や「BLACK LAGOON」。

パチンコよりも、私はスロットのほうが分かりやすかった。

パチンコには、

「右打ちしてください」

とか、

「Vを狙え」

とか、

初めて見る人間にはよく分からない指示がいろいろ出てくる。

何をすればいいのか分からないのが少し怖かった。

その点、スロットはとりあえずメダルを入れて、レバーを叩いて、ボタンを押す。

もちろん細かい知識は必要だったが、

初心者の私にはパチンコより入りやすく感じた。

最初は兄と一緒に行っていた。

ただ、それは長く続かなかった。

初めてホールに入ってから、たしか2週間もしないうちに、一人でも行くようになった。

学校が終わる。

そのままホールへ行く。

そんな日が増えていった。

ある日、一人で打っているところを兄に見つかった。

「お前もハマってんじゃん」

そんな感じで笑われた。

その時、私は妙に恥ずかしかった。

別に悪いことをしているわけではない。

18歳になっているので、年齢的にも問題はない。

それでも、

「自分はハマっている人間だ」と思われることが嫌だった。

私は昔から変なところでプライドが高かった。

自分では、

「別にハマってない」

と思っていた。

行きたいから行っているだけ。

遊びのひとつ。

その程度の感覚だった。

でも実際には、かなりの頻度でホールへ通うようになっていた。

高校生のころから、私はかなりアルバイトをしていた。

月によって差はあったが、10万円近く稼ぐことも珍しくなかった。

学生として考えれば、それなりに大きなお金だったと思う。

それでも、給料日から2週間ほどすると金がなくなっていることがあった。

バイト先では食事を安く済ませられることもあったので、それでなんとかしのぐこともあった。

家でも、

「なんでそんなにお金がないの?」

と聞かれることが何度もあった。

自分でも不思議だった。

働いている。

給料も入っている。

それなのに金がない。

もちろん原因の大きな部分はスロットだった。

でも、その時の私は、

「ギャンブルをやめないとまずい」

とは考えていなかった。

頭にあったのは、

「金がない。まずい。」

それだけだった。

ここは、あとから考えるとかなり重要だったと思う。

普通なら、

お金がなくなる

使いすぎている原因を減らす

となるはずだ。

でも私は違った。

お金がなくなる

どこかからお金を作ればいい

という方向へ考えるようになっていった。

まだこのころは、金融会社から借金をしていない。

友人に少し借りることはあった。

それでも、本格的な借金生活とはまだ遠かった。

そして5スロも、最初のうちは

「安く長く遊べるもの」

という感覚だった。

20円スロットを打つ人を見ても、

よくそんな高いレートで打てるな、と思っていたくらいだ。

20スロなら、同じ1000円でもあっという間になくなる。

自分には怖くて無理だ。

そう思っていた。

少なくとも、その日までは。

ある日。

5スロで負けて、手元のお金がほとんどなくなった。

そこで私は、

それまで怖いと思っていた20円スロットに座ることになる。

負けた金を取り返すために。

そして、最初のその一回が、

最悪な形でうまくいってしまった。

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