アルバイトが終わるのは、夜10時ごろだった。
私が住んでいた地域のパチンコ店は、夜11時に閉まる。
普通に考えれば、そこから行ってもほとんど打つ時間はない。
それでも、金がある日は店へ向かった。
バイトが終わったら急いで着替えて、パチンコ屋へ行く。
閉店まで、せいぜい1時間。
移動時間を考えれば、それより短い日もある。
それでも行きたかった。
むしろ、その1時間のためにバイトを頑張っていたところすらあった。
閉店作業が早く終われば、それだけ長く打てる。
だから仕事の終盤になると、
「早く終わらせよう」
と動く。
仕事に対するモチベーションとしては、妙な話だと思う。
ただ、当時の私にとってはかなり分かりやすいご褒美だった。
バイトが終わったら、パチンコ屋に行ける。
金さえ残っていれば、それでよかった。
バイトにはかなり入っていた。
そのため、給料日にはそれなりの金額が口座に入る。
給料日前は金がない。
だから給料日は待ち遠しかった。
ただし、
「これで借金を返せる」
と待っていたわけではない。
まず考えるのはギャンブルだった。
給料が入った。
今日は打てる。
そちらが先だった。
返済は、そのあとでいい。
当時借りていた学生向けローンは、返済するために店舗のATMまで行く必要があった。
しかも、いつでも利用できるわけではない。
営業時間がある。
学校やバイトもあるので、
「今日は行けないから、また今度」
となることもあった。
もっとも、営業時間だけが原因だったわけではない。
本当に返済を最優先にしていたなら、時間を作って行っていたはずだ。
単純に、優先順位が低かった。
ギャンブルには、バイトが終わった夜10時からでも行く。
返済は、
「今日は時間がない」
で後回しにする。
自分でも分かりやすいくらい、順番がおかしい。
そして当然、先に金を使えば残高は減る。
返済に行こうと思ったころには、
「返す金が足りない」
ということもあった。
給料が入ったばかりなのに、もう金の心配をしている。
そんなことを何度も繰り返した。
このころの私は、
「たくさん働けば、その分だけ金に余裕ができる」
という生活ではなかった。
働けば働くほど、使える金が増える。
使える金が増えれば、それだけギャンブルができる。
そんな感覚に近かった。
だから、シフトにたくさん入っているのに金がない。
給料日を待ちわびているのに、入ればすぐ使う。
夜10時まで働いて、そのあとわずかな時間でもパチンコ屋へ向かう。
それが特別な日の話ではなくなっていた。
金があれば、ほぼ毎日のようにギャンブルをする。
19歳のころには、それが日常になっていた。
ただ、金の使い道はギャンブルだけではなかった。
バイトが終われば、そのまま仲間と遊びに行くこともある。
そして私は、
そこで素直に
「金がないから行けない」
と言える人間でもなかった。
次の話では、そのころの人付き合いと金の話を書こうと思う。
