19歳になるころには、最初に借りた学生向けローンの限度額10万円は、ほとんど使い切っていた。
毎月、返済はしていた。
たしか5000円くらいだったと思う。
5000円返す。
普通なら、それで終わりだ。
借金が少し減った。
来月また返そう。
そう考えるものだと思う。
でも、当時の私は違った。
5000円返すと、そのうち3000円くらいはまた借りられるようになる。
すると、その3000円を借りる。
5000円返して、3000円借りる。
それを繰り返していた。
今振り返ると、
何のために返済していたのか分からない。
借金を減らすために返しているのに、
返済した直後にまた借りる。
結果として、借金はほとんど減らない。
それでも当時は、
「返済しているから大丈夫」
という感覚があった。
延滞しているわけではない。
毎月決められた金額を払っている。
だから、自分はちゃんとやっている。
そんなふうに思っていた。
でも実際には、
返済によって空いた数千円の枠すら、
そのまま残しておけない状態だった。
3000円。
今なら、
「たった3000円くらい借りずに済ませればいい」
と思う。
でも、その3000円が必要だった。
生活費に使うこともあった。
遊びに使うこともあった。
そして当然、
ギャンブルにも使った。
余裕がなかったのか。
判断がおかしくなっていたのか。
たぶん、両方だったと思う。
アルバイトをして給料は入っていた。
それなのに、
返済で空いた3000円まで借りなければ金が足りない。
普通に考えれば、
かなり危ない状態だった。
でも、
その時の私は「危ない」とは思っていなかった。
むしろ、
3000円借りられるなら、3000円ある。
そんな感覚だった。
借金の枠は、
完全に自分の財布の一部になっていた。
そして当然、
それだけではギャンブル欲は満たされなかった。
5スロならまだ多少遊べる。
でも負ければ終わる。
20スロなら3000円なんて、あっという間になくなることもある。
もっと打ちたい。
もっと金が欲しい。
でも借りられる金は、もうほとんど残っていない。
限度額10万円。
そこまで使い切っている。
返済して少し枠が空いても、
またすぐ借りる。
だから、
使える金が増えることはなかった。
このころから、
私は少しずつ別のことを考えるようになった。
「ほかにも借りられるところはないのか」
最初の会社で借りられる額には限界がある。
なら、
別の会社から借りればいい。
一度借金を経験してしまった自分にとって、
その発想自体には、もう大きな抵抗はなかった。
問題は、
借りる勇気ではなかった。
貸してくれる会社があるかどうか。
まだ20歳にもなっていない学生だった私にとって、
次の借入先を見つけるのは、
思っていたよりずっと難しかった。
