友人から借りた20万円。
就職してから、
毎月少しずつ返していた。
でも、
残りが十数万円になったころ、
返済が止まった。
催促のLINEも、
無視するようになった。
返済日は、
確か毎月27日ごろだった。
給料日の翌日あたりに、
設定していたと思う。
そして、
ある月の返済日を過ぎた。
翌日か、
翌々日だった。
友人から、
LINEが来た。
内容は、
かなり短かった。
「おばあちゃんに返してもらいましたので、もう返済不要です」
そんな内容だった。
見た瞬間、
血の気が引いた。
借用書には、
確かに書いていた。
返済が滞った場合は、
祖母に連絡してもいい。
しかも、
「1日でも遅れたら」
という条件だった。
だから、
友人は約束を破っていない。
むしろ、
書いてある通りにしただけだった。
それでも、
私は勝手に思っていた。
そんなにすぐ連絡するものなのか。
何回か返済していた。
それまでは普通に仲も良かった。
だから、
祖母への連絡は、
本当にどうしようもなくなったときの、
最後の手段くらいに考えていた。
でも、
友人からすれば、
私は催促を無視している。
いつ返すのかも分からない。
しかも、
年末だった。
向こうにも、
金が必要だったのかもしれない。
今になれば、
仕方なかったと思う。
友人は、
祖母と駅で待ち合わせをして、
残っていた十数万円を、
受け取ったらしい。
祖母自身に、
それだけの収入があったわけではない。
結局、
祖父が働いて得た金から、
支払われたのだと思う。
また、
祖父母に金の問題を持ち込んだ。
当然、
そのあと、
祖父母から電話が来た。
何度も。
何度も。
でも、
私は出られなかった。
出れば、
何を言われるか分かっていた。
それ以前に、
顔を合わせるのが怖かった。
ちょうど、
会社も年末年始の休みに入る時期だった。
私は、
自宅に帰らなかった。
仕事の都合で、
会社の施設に使える部屋が一つあった。
本来、
長期間使うような場所ではなかった。
それでも私は、
そこに泊まり続けた。
10日くらい。
もしかすると、
それ以上だったかもしれない。
家に帰れない。
祖父母からの電話にも出られない。
友人にも、
共通の友人にも連絡できない。
それでも、
借金そのものが消えたわけではない。
友人への十数万円が、
祖父母への十数万円に変わっただけだった。
少し前まで、
私は、
金がなくなれば、
次に金を作る方法を探していた。
でも、
このころになると、
金の問題から逃げるために、
帰る場所まで変えるようになっていた。
借金は、
財布の中だけの問題では、
なくなっていた。
