第33話 家に帰れず、年末年始を会社で過ごした

祖母が友人への残りの借金を返した。

そのことを知ってから、

私は家に帰れなくなった。

祖父母からは、

何度も電話が来ていた。

でも、

出なかった。

何を話せばいいのか、

分からなかった。


ちょうど、

年末年始だった。

会社は休みに入り、

仕事の都合で使える施設に、

一部屋だけ泊まれる場所があった。

本来、

何日も居続けるような場所ではない。

それでも、

私はそこに泊まった。

10日ほど。

もしかすると、

それ以上だったかもしれない。


その間、

ずっと部屋にいたわけではない。

年末には、

中学校時代の同級生たちから、

京都へ行こうと誘われた。

当時、

特別仲が良かったわけでもない。

それでも、

私は参加した。

家に帰りたくなかったことも、

大きかったと思う。


もちろん、

旅行に使える金なんてない。

それでも私は、

別の方法でどうにか金を作った。

その方法については、

ここでは詳しく書かない。

ただ、

祖父母に十数万円を払わせ、

家にも帰れなくなっている最中なのに、

私はまた金を作って、

旅行へ行った。


楽しかったかと言われると、

あまり楽しかった記憶はない。

大きな問題を抱えたまま、

それほど親しくもない人たちと、

京都にいる。

気持ちは、

ずっと落ち着かなかった。

それでも、

自宅にいるよりはよかった。

そんな感覚だったのかもしれない。


年末年始の休みが終わると、

会社の施設にも、

居続けることはできなくなった。

仕事が始まる。

仕方なく、

家に戻った。

ただ、

戻ったからといって、

普通の生活に戻ったわけではない。


自宅では、

兄と二人暮らしだった。

なるべく、

顔を合わせないようにした。

帰る時間を遅くする。

朝は早く出る。

家にはいる。

でも、

できるだけ誰とも会わない。

そんな生活をしていた。


祖父母とも、

しばらく話をしなかった。

電話にも出ず、

家にも行かなかった。

でも、

いつまでもそのままにはできない。

しばらくして、

ちゃんと話をしなければと思い、

祖父母の家へ向かった。


そのとき、

激しく怒鳴られた記憶はない。

どちらかといえば、

諭された。

連絡だけは取れるようにしてほしい。

何かあっても、

連絡がつかなければ、

どうしようもない。

そんなことを言われたと思う。


学費のときも、

祖父母に助けてもらった。

そして今度は、

友人への借金まで、

代わりに払ってもらった。

それでも私は、

問題が起きるたびに、

向き合うより先に、

逃げることを選んでいた。

金がなくなる。

連絡を無視する。

家に帰れなくなる。

そして、

また別の場所へ逃げる。

このころには、

借金の問題は、

支払額だけではなく、

自分が普通に生活できる場所まで狭くしていた。

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