第17話 学費を使い込んだことを、祖父に打ち明けた

学費の支払期限まで、

あと2週間ほど。

もう、自分だけではどうにもならなかった。

私は祖父に電話をした。

電話で詳しいことを話した記憶はない。

ただ、

「大事な話がある」

と伝えて、

祖父の家へ向かった。


祖父には、

昔からよく世話になっていた。

祖母は専業で、

家のお金を稼いでいたのは祖父だった。

子どものころから、

お小遣いをくれるのも祖父だった。

そんな祖父に、

今度は大学の学費を使ってしまったことを話す。

言い出すまでにも、

かなり勇気が必要だったと思う。


学費として残しておかなければならなかった金を、

少しずつ使ってしまった。

最初は戻せると思っていた。

でも戻せないまま、

支払期限が近づいた。

そう説明した。

祖父は、

怒鳴るような人ではなかった。

その日も、

大声で責められた記憶はない。

ただ、

呆れられた。

そして、

「なんでもう少し早く言ってくれなかったんだ」

と強く言われた。

それは当然だった。

残り2週間。

相談するには、

あまりにも遅い。


祖父は、

必要な金を用意してくれた。

祖母も一緒に、

銀行のATMまでついてきてくれた。

現金を口座へ入れ、

大学への振込操作は自分でやった。

振込が終わる。

出てきた明細を、

一緒に来てくれた祖父母に見せた。

これで、

学費は払えた。


そのときは、

本当に情けなかった。

泣くほど申し訳なかった。

自分で使ってしまった金を、

祖父に用意してもらう。

しかも、

期限ぎりぎりになってから相談する。

情けないという言葉では足りないくらいだった。

同時に、

正直なところ、

助かった。

とも思った。

大学に払えないという問題は、

これでなくなった。


ただ、

祖父母との話には続きがあった。

当然、

聞かれた。

「ほかに借金はないのか」

本当は、

あった。

このころには、

消費者金融などから70万円か80万円ほど借りていたと思う。

でも、

それは言えなかった。

学費を使い込んだことだけでも、

こんなに迷惑をかけた。

そのうえ、

実はほかにも何十万円も借金があります。

そこまで話す勇気はなかった。

だから、

隠した。


今なら、

ここが大きな分岐点だったと思う。

あのとき、

全部話していれば。

消費者金融の借金まで含めて、

助けを求めていれば。

その後は、

少し違っていたかもしれない。

でも当時の私は、

そう考えなかった。

学費の問題は、

祖父に助けてもらって終わった。

残った問題は、

誰にも知られていない消費者金融の借金。

そして、

私が考えたのは、

その借金を正直に話すことではなかった。

バレる前に返せばいい。

返してしまえば、

最初からなかったことにできる。

そのためには、

どうすればいいのか。


ここまで読んでいる人なら、

もう答えは想像できると思う。

私が考えたのは、

働いて少しずつ返すことではなかった。

金を増やして、借金を一気に返すことだった。

学費を使い込んで、

祖父母に80万円近い金を用意してもらった。

そこまでいっても、

私が向かった先は、

ギャンブルをやめることではなかった。

もっと真剣にギャンブルをして、勝って返そう。

反省した。

でも、

反省する方向を完全に間違えていた。

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