第38話 80万円をもらった。今度こそ返すつもりだった

祖母が亡くなったあと、

祖父から80万円ほどをもらった。

その話を聞いたとき、

私は一応、

「半分くらいは借金を返そう」

と考えていた。

前年の6月には、

700,000円の馬券を当てて、

ほとんど残せなかった。

その反省も、

多少はあったはずだ。


でも、

実際に返済に使ったのは、

10万円くらいだったと思う。

半分どころではない。

残りは、

いつものように消えていった。

地方競馬。

パチスロ。

生活費。

細かい使い道は、

正直ほとんど覚えていない。

80万円という、

かなり大きな金額だったはずなのに。

それほど印象に残っていないということは、

結局、

特別な使い方はしなかったのだと思う。


借金がある人なら、

まとまった金が入ったとき、

「これで一気に返せる」

と思ったことがある人もいるかもしれない。

私も、

何度もそう思った。

でも、

実際に金が手元に入ると、

全部を返済に使うのが惜しくなる。

少しくらい残してもいい。

これだけあれば、

また増やせるかもしれない。

少なくとも私は、

そうだった。


そして、

80万円もなくなった。

そのあとに残ったのは、

いつもの生活だった。

給料が入る。

支払いをする。

生活費が必要になる。

また金が足りなくなる。

これまでは、

大きく勝ったり、

新しく借りたり、

普通ではない方法で金を作ったりして、

そのたびに何とかつないできた。

でも、

そういう金が入らなければ、

もう回らない。

それが、

はっきり見えるようになった。


問題は、

借金の総額だけではなかった。

毎月の支払いそのものが、もう限界だった。

給料だけでは、

普通に生活しながら払い続けることができない。

まとまった金が入っても、

結局、

その場をしのいだだけだった。

そして私は、

ようやく別の方法を考え始めた。

任意整理だった。

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