第37話 祖母が亡くなったあと、祖父から「お前らにも渡す」と言われた

少し、時間を遡る。

友人への返済を無視して、

祖母に立て替えてもらった一件から、

1年か2年ほど経ったころだったと思う。

2017年の初めごろ。

祖母が亡くなった。


こういう話を書くと、

「もっと恩返ししておけばよかった」

「ギャンブルなんかせず、もっと会っておけばよかった」

そんな後悔があったように思われるかもしれない。

でも、

実際の私はそうではなかった。

母が亡くなったときもそうだったが、

人の死に対して、

私はどこかあっけらかんとしていた。

もちろん、

何も感じなかったわけではない。

ただ、

人生が変わるほど落ち込んだとか、

ギャンブルをやめようと思ったとか、

そういうことはなかった。

生活は、

ほとんど変わらず続いた。


祖母には、

一度だけ大きく迷惑をかけている。

友人から借りた金を返さず、

連絡まで無視した結果、

祖母が代わりに返した。

それでも私は、

自分がどれだけ借金を抱えているのかまでは、

祖母に話さなかった。

少なくとも祖母に対しては、

最後まで隠し通したことになる。


祖母が亡くなって、

しばらくしたころ。

祖父から突然、

こんなことを言われた。

「ばあちゃんが亡くなって入る金だから、お前らにも渡しておく」

兄と私に、

それぞれ金を渡すという話だった。

金額は、

一人あたり80万円くらいだったと思う。


80万円。

また、

まとまった金が目の前に現れた。

少し前の私なら、

そのままギャンブルに使っていたかもしれない。

でも、

このころには一応、

それまでの失敗もあった。

だから私は、

考えた。

半分くらいは借金を返そう。

残り半分なら、

使ってもいいんじゃないか。


祖母が亡くなって入ってきた金だった。

それでも私は、

80万円を見ながら、

「いくら返して、いくら残すか」

を考えていた。

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