少し、時間を遡る。
友人への返済を無視して、
祖母に立て替えてもらった一件から、
1年か2年ほど経ったころだったと思う。
2017年の初めごろ。
祖母が亡くなった。
こういう話を書くと、
「もっと恩返ししておけばよかった」
「ギャンブルなんかせず、もっと会っておけばよかった」
そんな後悔があったように思われるかもしれない。
でも、
実際の私はそうではなかった。
母が亡くなったときもそうだったが、
人の死に対して、
私はどこかあっけらかんとしていた。
もちろん、
何も感じなかったわけではない。
ただ、
人生が変わるほど落ち込んだとか、
ギャンブルをやめようと思ったとか、
そういうことはなかった。
生活は、
ほとんど変わらず続いた。
祖母には、
一度だけ大きく迷惑をかけている。
友人から借りた金を返さず、
連絡まで無視した結果、
祖母が代わりに返した。
それでも私は、
自分がどれだけ借金を抱えているのかまでは、
祖母に話さなかった。
少なくとも祖母に対しては、
最後まで隠し通したことになる。
祖母が亡くなって、
しばらくしたころ。
祖父から突然、
こんなことを言われた。
「ばあちゃんが亡くなって入る金だから、お前らにも渡しておく」
兄と私に、
それぞれ金を渡すという話だった。
金額は、
一人あたり80万円くらいだったと思う。
80万円。
また、
まとまった金が目の前に現れた。
少し前の私なら、
そのままギャンブルに使っていたかもしれない。
でも、
このころには一応、
それまでの失敗もあった。
だから私は、
考えた。
半分くらいは借金を返そう。
残り半分なら、
使ってもいいんじゃないか。
祖母が亡くなって入ってきた金だった。
それでも私は、
80万円を見ながら、
「いくら返して、いくら残すか」
を考えていた。
