第27話 携帯を12台近く契約しても、まだ破綻していないと思っていた

最初の1台で、

まとまった現金を作れた。

すると、

それで終わりにはならなかった。

金が足りなくなる。

また携帯を契約する。

売る。

現金を作る。

それを繰り返した。


最終的には、

10台を超えていた。

たぶん、

12台前後だったと思う。

大手3社で、

3台、4台、5台。

そんな感じで増えていった。

今見返しても、

よくここまで契約できたな

と思う。


もちろん、

毎回すんなり通ると思っていたわけではない。

むしろ、

契約するたびに、

さすがに今回は無理かもしれない

と思っていた。

携帯の契約は、

店舗でかなり時間がかかる。

申込書を書いて、

説明を聞いて、

審査を待つ。

その時間ずっと、

通るかどうかが気になっていた。

これだけ待って、

結局審査に落ちたら、

かなり時間を無駄にする。

そんなことまで考えていた。


それでも、

通れば契約した。

高額なiPhoneの分割が、

だんだん通りにくくなった。

後半になると、

10万円を超えるような端末は、

審査に落ちることも増えた。

すると、

今度は安い端末を契約した。

1円で買えるようなスマホでも、

売れば2万円くらいになる。

金額は小さくなる。

それでも、

現金になるなら使った。


このころには、

先のことを、

あまり考えなくなっていた。

携帯を1台増やせば、

その分、

毎月の支払いも増える。

それは分かっていた。

でも、

目の前で現金が足りない。

だから、

今を乗り切る方を優先した。


それでも、

自分の中では、

完全に無計画ではなかった。

半年に一度、

ボーナスが入る。

ボーナスが入れば、そこで立て直せる。

そう思っていた。

毎月の支払いが増えても、

ボーナスを使えば何とかなる。

その計算があるから、

まだ破綻していないと思っていた。


今考えると、

ボーナスを使って、

本当に支払いを整理して、

その後の生活費として少しずつ残しておけば、

ギリギリ持ち直せる余地はあったのかもしれない。

でも、

実際にはそうならなかった。

ボーナスは、

未来の支払いを救うための金ではなく、

また使える金になった。


だから、

契約する携帯は増える。

支払いも増える。

でも、

本人は、

まだ終わったとは思っていない。

次のボーナスまで持てばいい。

そうやって、

先送りを続けていた。


今振り返ると、

このころにはもう、

借金の総額よりも、

次にどこから現金を作れるか

ばかりを考えていた。

携帯の契約が通るかどうか。

次はいくら現金になるか。

それが、

生活の中心になっていた。

そして、

携帯でも金を作りにくくなると、

また別の方法を探すようになる。

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