第4話 負けた日に20スロを打った。そして勝ってしまった

その日も、私は5スロを打っていた。

そして普通に負けた。

いくら持ってホールへ行ったのかは覚えていない。

ただ、手元には5000円くらいしか残っていなかったと思う。

このまま5スロを続けることもできた。

そのまま帰ることもできた。

でも私は、別のことを考えた。

20スロなら、当たった時にもっと大きく返ってくる。

それまで20スロは怖いと思っていた。

1000円なんて、あっという間になくなる。

学生の自分が打つものではない。

そう思っていた。

でも、すでに負けていた。

そして手元に残っている金も少ない。

「このままじゃ取り返せない」

そんな気持ちになった。

そこで初めて、20スロの台に座った。

今考えると、この時点ですでに考え方がおかしい。

金が減ったのなら、普通は使う金額を減らす。

でも私は逆だった。

負けたから、

もっと大きく賭けて取り返そうとした。

そして。

これが、うまくいってしまった。

正確な枚数までは覚えていないが、1000枚くらい出たと思う。

20スロなので、金額にすると2万円前後。

学生だった私にとっては十分大きな金額だった。

さっきまで負けていた。

手元には5000円くらいしかなかった。

それが、短い時間で一気に増えた。

嬉しかった。

そして同時に、こんなことを考えた。

「これ、5スロだったら5000円くらいにしかならないのか」

20スロなら約2万円。

5スロなら、その4分の1程度。

同じように当たって、同じくらいメダルが出ても、金額は全然違う。

それまで私は、

20スロは金が減るのが早くて怖い。

そう考えていた。

でもこの日、

「増えるのも早い」

ということを知ってしまった。

もちろん、この日を境にいきなり毎日20スロを打つようになったわけではない。

当時の収入を考えれば、まだ5スロを打つことのほうが多かった。

20スロはやっぱり怖かった。

ただ、

「負けた時は、20スロで取り返せるかもしれない」

という経験が残った。

これはかなり厄介だった。

もしこの日、残っていた5000円もそのまま全部なくなっていたら。

「やっぱり20スロは怖い」

で終わっていたかもしれない。

でも実際には逆だった。

負けている時にレートを上げた。

そして取り返した。

つまり私の中では、

間違った行動に、成功体験がついてしまった。

ギャンブルでは、こういう経験が妙に記憶に残る。

普通に負けた日のことは忘れていく。

でも、

負けていたのに最後に大逆転した日。

残り少ない金から取り返した日。

そういう日は、いつまでも覚えている。

そして次に負けた時、

「あの時も取り返せた」

と思う。

この日の私も、そうだった。

まだ借金はしていない。

5スロを中心に遊んでいる学生だった。

それでも、

負けたらやめるのではなく、

負けたらもっと大きく賭ける。

その選択肢を、私はこの日覚えてしまった。

そして当然。

そんなことが毎回うまくいくはずはなかった。

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