また、
借金関連の掲示板を見ていた。
そこで、
「審査に通りやすい」
と言われている消費者金融を見つけた。
もう借入先はかなり増えていた。
それでも、
通る可能性があるなら申し込む。
当時の私にとっては、
いつものことだった。
申し込んだあと、
「審査のために来店してください」
と言われた。
東京都内の店舗だった。
電車に乗って、
一人で向かった。
来店まで求められたことで、
私はむしろ期待していた。
わざわざ店まで呼ぶということは、借りられるんじゃないか。
そんなふうに考えていた。
店舗では、
かなり細かく聞かれた。
他社からいくら借りているのか。
借金の総額。
収入。
家族構成。
そして、
毎月の収入と支出を、
その場で書き出した。
なぜ、
ここまで借金が増えたのか。
何に使ったのか。
そんなことも聞かれた。
私は、
本当の理由をそのまま話さなかった。
ギャンブルでここまで増えたと言えば、
審査に落ちると思ったからだ。
金があると飲みに行ってしまう。
人に奢ってしまう。
他人によく見られたくて、
使いすぎてしまう。
そんな説明をした。
全部が完全な嘘というわけではない。
でも、
借金がここまで膨らんだ一番の理由は、
そこではなかった。
話を聞いていたのは、
かなり高圧的な男性だった。
そして、
審査の結果を告げられた。
「この状態では、うちでは貸せない」
ここまでは、
まだ普通だった。
問題は、
そのあとだった。
男性は、
そのまま私に話し始めた。
これまで、
私のような人を何人も見てきたこと。
このままでは、
人生がどんどん悪い方向へ行くこと。
普通の人は、
収入の範囲で支出を抑えて、
欲しいものを我慢しながら生活していること。
そして、
私にはその「我慢」が足りない。
欲望のままに金を使い続けていたら、
本当にどうしようもなくなる。
だいたい、
そんな内容だったと思う。
私は、
説教されていた。
金を借りに来た消費者金融で。
店を出たあと、
泣きながら帰った。
なぜ泣いたのかは、
今でもよく分からない。
久しぶりに大人から強い口調で説教されて、
その圧に耐えられなかっただけかもしれない。
心のどこかでは、
言われていることが正しいと分かっていたのかもしれない。
でも、
少なくとも店を出たときの私は、
素直に反省してはいなかった。
何言ってんだよ。
俺はまだ大丈夫だ。
そんな気持ちの方が強かった記憶がある。
今なら、
あの人が何を言いたかったのかは分かる。
でも、
当時の私は、
泣くほど言われても、
まだ自分を「どうしようもない状態」だとは思っていなかった。
そして結局、
金も借りられないまま、
家に帰った。
