祖母に友人への借金を返してもらい、
年末年始に家へ帰れなくなった。
そのあとも、
生活は大きく変わらなかった。
仕事をする。
金があれば、
競馬やパチスロをする。
金がなくなれば、
またどうにかして作る。
そんな日々が続いていた。
2018年6月4日。
私は、
最寄り駅近くのパチンコ店にいた。
打っていたのは、
4円パチンコのシンフォギア。
その日の大井競馬も、
当然のように買っていた。
当時の大井は、
私の感覚では、
かなりインが有利な馬場だった。
そこで最終レースは、
1着に逃げそうな馬を固定した。
ここは、
かなり勝つと思っていた。
3着には、
人気はなかったものの、
インでうまく立ち回れば残れると思った馬を固定。
問題は、
2着だった。
誰が来るか分からない。
だったら、
この馬場をうまく使って、誰か突っ込んできてくれ。
そんな予想で、
2着を広く買った。
三連単の購入金額は、
1,400円。
結果は、
その形になった。
2着に、
人気のない馬が入った。
払戻金は、
700,660円。

画面を見た瞬間、
テンションが跳ね上がった。
うおおおお。
そして、
すぐに思った。
パチンコなんかしてる場合じゃねえええ。
さっきまで打っていたシンフォギアなんて、
どうでもよくなった。
一度の競馬で、
約70万円。
普段、
数千円や数万円を作るために、
あれだけ色々なことをしていた自分に、
突然、
まとまった金が入ってきた。
最初に思ったのは、
意外にも、
これで借金を返せる。
だった。
家に帰って、
少し返済計画を立てた。
どこに、
いくら返すか。
ざっくり計算してみた。
そして、
気づいた。
全然足りない。
それまで私は、
自分がいくら借りているのかを、
きちんと把握していなかった。
70万円もあれば、
かなり整理できると思っていた。
でも、
実際に並べてみると、
そうではなかった。
だから、
私はまた、
都合よく考えた。
だったら、もう少し増やせばいい。
今なら分かる。
そこで、
70万円を返済に回せばよかった。
全部足りなくても、
減らすことはできた。
少なくとも、
生活を立て直す方向へ、
一歩進むことはできた。
でも、
私はそうしなかった。
70万円では足りない。
だから、
競馬でもっと増やす。
続ける理由が、
またできた。
しかも、
払戻金は、
ネット投票の口座に入ったままだった。
わざわざ現金を下ろす必要もない。
画面上に、
大きな残高がある。
そのまま、
次の馬券が買える。
70万円を当てたのは、
その日の最終レースだった。
その夜は、
一応、
返済のことを考えた。
でも、
翌日の午前中には、
もう馬券を買い始めていた。
この日の三連単は、
1,400円だった。
でも、
70万円を手にした翌日から、
私の賭け金は、
はっきり変わっていく。
金が少なければ、
小さく賭ける。
金があれば、
大きく賭ける。
昔から、
私はそういうタイプだった。
そして今度は、
手元に70万円あった。
大勝ちしたことで、
借金から抜け出すチャンスを得た。
でも同時に、
これまでより大きく賭けられる金も手に入れた。
私が選んだのは、
後者だった。
